ISCOの兼村光さんに聞く、沖縄のIT業界の歴史とは
ISCOはITテクノロジーを使って、生産性の向上を図ったり新しいビジネスモデルを作るなど経済発展を図るための産業支援機関です。
沖縄県は1990年代からITに力を入れてきました。その背景には、時間や場所に影響されないITを観光に続くリーディング産業に位置づけることで、雇用の拡大を図る狙いがありました。
1990年代から沖縄県で取り組んでいる「マルチメディアアイランド構想」について、ISCOの兼村光さんにその歴史と成果、課題についてお聞きしました。
「IT用語は横文字も多く難しい」とミキトニーさん。でも、すでに私達の生活に密接に関わっているんです。
今では個人でもSNSを活用したデジタル配信などで、タレントじゃなくてもエンパワーメントを発揮できます。
ITと組合わせることでより個人力や製品力がパワーアップしていくので、上手に活用していくことが必要です。
では、実際に沖縄のIT業界の課題はどこにあるのか。有識者のお二人とディスカッションしていきます。
DX(デジタルトランスフォーメーション)がキーワード
ITの活用に興味が出てきたミキトニーさんに「実は沖縄のITリテラシーは高い」と棚原さん。
県内高校の先生方は、ICTリテラシーが全国トップクラスと言われています。制限された地域だからこそ、情報を得るために、新しい技術への柔軟性が高く浸透が早かったそうです。
また、「DX(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタルの部分ではなく経営の変革=トランスフォームが実は重要なんです。」と豊里さん。組織やサービスに変革を起こすレベルで、既存のモデルを変革させるDXが今後キーワードとなるそうです。
それでは、そんな変化が目まぐるしいIT業界で働くモチベーションは何でしょうか?
「(自分たちが提供した)シンプルなITの技術が色々な価値を生み出していくこと」と棚原さん。
それを使った人たちが、既存のサービス価値からどんどん自分たちのDXを考え始めていくことに、やりがいを感じるそうです。
そんなお二人から見た、沖縄のIT業界の課題とは?
沖縄のIT業界の課題とは?
自社開発が少なく受託型の産業構造
自社開発や自社プロダクトを持ち、市場に打って出る企業はまだ少ないです。
従来の請負型・受託型のままでは淘汰されてしまうかもしれません。
スタートアップ挑戦者やロールモデルが少ない環境
基本的には出資を得ながら大きな資金で困難な課題に取り組むのですが、効率化が必要なためスタートアップとITは密接な関わりがあるそうです。
しかし、沖縄ではスタートアップ挑戦者を支援する環境がまだ小さく、またロードマップやロールモデルが少ないことが課題です。
「やっぱりお金が…」とミキトニーさん。でもスタートアップの支援機関はすでにあるそうです。他府県に比べ沖縄はその予算も高いそう。1位の観光と2位のITをあわせたリゾート+テクノロジー=リゾテックが今後の合言葉になるそうです。
それでは、これらの課題を解決するには何をしたらいいのでしょうか?
沖縄のIT業界が抱える課題の解決策は何?
自社開発や自社プロダクトをもってDXを推進する
自社開発や自社プロダクトをつくり積極的に市場へ参入したり、ユーザー企業が自社開発を始めた際に、伴走し、産業構造を変化させていくなどのDXが必要不可欠だそうです。
起業家を育むスタートアップ支援の環境づくりとロールモデルづくり
「起業家が課題に取り組むには、一人だけでは難しく、多くの支援が必要です。スタートアップ支援機関は、起業家を取り巻く環境(エコシステム)を銀行や行政・個人投資家などの力を借りて整え、彼らの挑戦を応援できる体制を作っていきたい」と話す豊里さん。
県外の資源・資本・視点を集めることで、起業家たちの挑戦を更にブラッシュアップし、成長して行くことを狙います。
一方で起業家側は、後身のためにロードマップや、エコシステムのロールモデルを作って行くことも必要とのこと。
以上をふまえた、未来ポイントは次のようになりました!
未来ポイント
- 受託型から自社プロダクトへの変革
- スタートアップ支援をするエコシステムのモデルを作る
「DXやスタートアップの根底にあるのは、社会の変化で個人の価値観が尊重されるようになった事にあります。その時々の課題のディスカッションを多くの人達と続ける事で沖縄の抱える課題は自ずと解決されていくのかもしれません。」と語る棚原さん。
そんな未来に向かって行動していきたいと思います。
Guest Profile
ITベンチャー企業、株式会社Alpaca.Lab(アルパカラボ)を2018年設立。ベンチャーキャピタルサミット2018でのNICT賞の受賞や、オキナワ・スタートアップ・プログラム支援の1社に選出されるなど、沖縄のスタートアップとして期待の会社に成長。2020年1月に運転代行配車アプリ「AIRCLE(エアクル)」をリリース。
海外と連携した受託開発・自社サービスの開発を行う株式会社Link and Visibleを2017年設立。現在は起業家支援施設「Startup Lab Lagoon」の代表となり、沖縄がアジアのスタートアップハブとなるべく、国内外を含めたエコシステムの形成を目指して多岐にわたる活動も展開。