沖縄はダンスに触れる環境が整っている
「全くダンスができない」意外な一面があるミキトニーさんと、同世代の有識者のお二人。開始早々、盛り上がるスタジオ。早速、ダンス業界の現状についてお聞きしました。
米軍基地の影響?幼い頃のダンス文化
子どもの頃からフォークダンスの授業があったりと、沖縄のダンス環境は少々独特なよう。実際に、ダンスのスタジオやコンテスト・イベントも増え、(ダンスをする)子ども達を育てやすい環境だと宮城さんは感じているそうです。また、県外と比較してもイベントの数は多く、沖縄市では毎週のようにダンスイベントがあるとのことでした。
「米軍基地があるからこそ、60~70年代当時、アメリカで流行っていたステップなどが他府県よりも早くクラブシーンに入ってた」と宮城さん。ディープなヒップホップ文化が直で入っていたため、沖縄のダンス文化は、より深まっていったのかもしれません。
あのMCハマーは、コザの街でステップを踏んでた!?
「(MCハマーが)有名になる前、おそらく軍人時代にコザのPYRAMIDで遊んでいたらしい」と宮城さん。これには驚きを隠せないMCのお二人。「あの(有名な)ステップはコザで生まれたと言っても過言じゃない!」と興奮気味のミキトニーさん、沖縄の特にコザはダンスのメッカなのでは…と思うのでした。
実際、コザは日本で一番ダンススタジオの密集率が高く、200m圏内に7つほどダンススタジオがあるそうです。
青春の推しを呼びたい!イベント企画で夢を叶える。
県外アーティストを沖縄に招致してダンスやライブイベントを手がけてるAkk♀nさん。沖縄アリーナのオープニングイベントでは念願のDA PUMPさんやORANGE RANGEさん、沖縄市レジェンドMURASAKIさんなどをお呼びしたそうです。これには、感心するスタジオでした。
今では、学校の必修科目にダンスが入ってることに、若干の衝撃があるというミキトニーさん。
やはり盛り上がっているのでしょうか?お二人にお聞きしました!
今は、空前のダンスブーム!
親の方が(ダンスへの)力が入っている事が多い!
「小学校のクラスの半分以上はダンスをやってるんじゃないかな」とAkk♀nさん。子どものダンス人口は増えていると有識者のお二人は感じているそうです。
最近では、テレビやネットで情報が簡単に手に入り「K-pop」や「踊ってみた」など、遊びの中にダンスを取り入れることが、当たり前になっており、Akk♀nさんも「環境にすごい恵まれていると思います。今の子は」と感じているようです。
沖縄から世界に通用するダンサーに!
今ではDリーグ(DANCE LEAGUE)など、色々な世界大会に沖縄出身の方が多数出場していて、沖縄のダンスは世界レベルまで来ているとのことでした。
沖縄のダンス業界自体はどんどん良くなっていると思いつつも、「踊れない人からするとアンダーグラウンドのイメージがまだある…」と感じるミキトニーさん。
そんなイメージを払拭するにはどうしたらいいのでしょうか?
苦手な人もダンスを楽しむには?
「私みたいに踊れない人でも楽しめる何かないですか?」とミキトニーさんに、「ちょっと飲んでから踊ってみたら?(笑)」と神山さん。でも、娘の前ではこっそり踊ってるそうです。
プロたちの本気「イ・ミリトリ」
「ミキトニー、本当にダンスがうまいイメージ!」という神山さんに、間髪入れず「いや、本当に全然!やばいの本当に!」と答えるミキトニーさん。
10年ほど前、イ・ミリトリというキャラクターのPV撮影の際に、素人でもできる初歩的なダンスを依頼したにも関わらず、動きができなさすぎて、練習中に「無理です!できませ~ん(泣)」と、うずくまって泣いた事があったそう。
独特の踊るジェスチャーと完成度の高いPVに盛り上がるスタジオでした。
ダンス業界の抱える課題とは?
「ダンスの可能性をさらに広げるとして、お二人自身が個人的に抱えている悩みや課題はありますか?」と聞くミキトニーさんに、「課題だらけだけど、それをいかにシンプルに楽しめるか!」と答えるAkk♀nさん。
例えばコロナで、対立する子どもと親の意見の間に入ったり、この状況でイベントやっていいのか…など色々あるそう。物理的環境の拡充とともに、ダンスの社会的な優先順位を上げていく必要があるのかもしれません。
もっとオープンな業界に!
「ダンス業界ってクローズドな感じがする。」とMCのお二人。(ダンスを)やってない側からすると、ダンスに対するイメージができあがり過ぎているため、ハードルが高く感じるのだそう。
また、ストリートダンスなどのヒップホップカルチャーは反社会的なイメージがあるけれど、同じカルチャーのスケボーは、オリンピック競技になったり、各市町村にパークができたりしているので、課題を解決していくことで未来がもっと開けるのかもしれません。
以上を踏まえ、
1)ダンスに触れてきていない大人たちの、ダンスに対するハードルが高い
2)ダンスの新たなフェーズの周知をやっていくべきじゃないか
と、大きく2つの課題があると感じたミキトニーさんでした。
ダンス業界がもっと盛り上がるには?
Dリーグに沖縄の大手企業がスポンサーについて、地元に根ざしたチームができたら、地域のみんなも応援でき、一気に盛り上がるのでは…と考えたミキトニーさん。
有識者のお二人は、今後どんな未来になれば、もっとダンス業界が盛り上がると考えているのでしょうか?お二人にお聞きしました!
誰でも楽しめるダンスはラジオ体操!?
Akk♀nさんのイベントでは、バザーやフリーマケット・獅子舞などがあったりダンス以外のコンテンツも色々やっているそう。
「そういった、もっと大きい集大成なるイベントを(できないか)」と言う神山さんに、「みんなでラジオ体操する?」とミキトニーさんがぶっ込みます。
浸透率も高く、ほとんどの老若男女が踊れて、上手い下手関係ないラジオ体操なら面白いかも!と盛り上がりました。
「スタジオでストリートダンスやズンバがあるんだけど、めっちゃ年配の方がいる」と言うのは、最近ジムに行ったAkk♀nさん。こういった方のために、昼間に自治会館などでダンササイズ(ダンス+エクササイズ)をやれたら良いなと思っているそうです。
2024年パリオリンピックで、ブレイクダンスが新競技に!
「オリンピックには、どうやったら出れるんですか?(沖縄)県内の選手が出たら、大フィーバー!」と言うミキトニーさんに「可能性はある!」と宮城さん。どうやら、強化選手としてすでにピックアップされているそう。この嬉しい報告に、つい方言が出てしまうほど興奮気味のミキトニーさん。
もう2年後に迫っているオリンピックにむけて、今から土台作りをすることがとても大切だと感じているようでした。
Akk♀nさんが沖縄ダンス業界の窓口に!?
それでは、沖縄県にダンス協会はあるのでしょうか?
「作ってプラスになる事とマイナスになることが考えられる気がする…」とAkk♀nさん。過去にも、そういった話が出たそうですが、ダンスカルチャーの背景からか、未だにできていないそう。
「準備委員会のような意見交換やオファーを受けられる窓口みたいなのがあると、ぜんぜん違うアプローチができそう」と神山さん。今後、盛り上がりが期待されるダンス業界だからこそ、公式の発信ができる機関が必要だと感じているようです。
そこに、「じゃぁ頑張ります!」と手を挙げるAkk♀nさん。沖縄のダンサーたちがまとまれば、すごい事ができるのでは…と思っているそうです。
ダンサー達がダンスを卒業した後をケアする仕組みづくりや、産後ケアなど色々な施策がでましたが、ディスカッションした結果、未来図は次のようになりました!
沖縄のダンス業界未来図
- 沖縄から世界に発信できるエンタメを新たに作り上げる
- 沖縄からマイケル・ジャクソンのような人を輩出する
- この沖縄をダンスの聖地にする
まずは、今回のディスカッションで出たことを進めることによって。どんどんダンス業界は良くなっていく!と盛り上がるスタジオ。「これからのダンスシーンに注目していきたい!」とまとめるミキトニーさんでした。
Guest Profile
1998年に沖縄アクターズスクールのオーディションに合格。2012年に自身のスタジオGALAXYをオープン。沖縄市を中心に、ストリートキッズダンサーの育成を務め、自身もダンスバトルやショーケースなど幅広く活躍中。
幼い頃から様々なダンスアーティストの影響を受け、現在は沖縄で音楽イベントのプロデュースを行う。沖縄アリーナで開催されたイベントでは、沖縄市出身の有名アーティストを多数出演させイベントは大盛況となった。