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Vol.8 沖縄そばの歴史と今 うちなーんちゅのソウルフード「沖縄そば」。業界の抱える現状と課題とは? | おきなわMIRAI'S(ミライズ)

うちなーんちゅのソウルフード「沖縄そば」。業界の抱える現状と課題とは?

沖縄を代表する食文化「沖縄そば」。今では庶民の味方沖縄そばですが、その昔は高級食だった時代もあったそうです。今回は自家製麺が人気の金月(きんちち)そば店主・金城太生郎さんと、「『すば』らしい日々」のブログ管理人・通称「呉屋(ゴヤ)親方」こと呉屋博典さんに沖縄そば業界の現状と課題をお聞きし、お二人と沖縄の未来図を一緒に作っていきたいと思います!

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昔は高級品だった!?沖縄そばのルーツとは

ルーツは400年近く交易があった彼の国から?

「間違いなく中国!」と答える呉屋さん。明言されているわけではないですが、400年近い交易があり、何百回も中国から使者が琉球にやってきて、何十日も滞在する。その時に、毎日小麦粉を配給していたことを考えれば、中国から入ってきたと考えるのが自然な流れでは…とのことでした。

明治35年、「支那そばや」と出した開業広告が当時の新聞に掲載されているそうですが、それが「沖縄そば」の最初とい言われています。その頃は若者が憧れる食べ物で、富裕層向けの高級な食べ物だったそうです。

これには、今とは違う沖縄そばのイメージに驚くミキトニーさんでした。

ほんの50年前は、女性がそば屋に行くことが恥ずかしい時代も・・!

「戦後も昭和30年以降から製麺所がいっぱいできた」と呉屋さん。製麺所ができる前までは、木の灰で麺を作る木灰そばが主流だったそうですが、昭和38年以降に「かん水」という食品添加物が開発されて以降、手軽に作れるようになり、製麺所や食堂が増え、徐々に庶民の間にも広まっていったとのことでした。

それでも、本土復帰前までは、中々食べられなかったという沖縄そば。その頃は、女性がそば屋や食堂に行くことが恥ずかしいという風潮があり、裏道に立って食べていた時代があったそうです。

これには「まさかや~!!」と声を荒げるミキトニーさん。ほんの50年前のこういった文化に衝撃が隠せない様子でした。

沖縄そばの歴史について語る呉屋さん
沖縄そばの歴史について語る呉屋さん

食文化の多様化とともに、沖縄そばも多様化している。

「様々な食文化が多様化して、外食文化も多様化していっているけど、沖縄そば(業界)全体の売り上げはどうなっているの?」と疑問に持つ神山さん。

「コロナ禍ではあるが新店舗が増えている」と、呉屋さんが答えます。多様化も進み、今では「貝出汁沖縄そば」といった商品も出てきて人気を博しているそうです。

「貝!?」と新しい沖縄そばに、興味津々のMCのお二人でした。

沖縄そば業界が抱える課題はなに?

生産量が落ちている?

「新聞か何かで、生産量が落ちてきていると聞いたことがあるけど実際はどう?」と聞く神山さんに、「製麺所は減ってきている」と答える呉屋さん。

しかし、後継ぎがいなかったり、店主が他界して、そのまま閉店したり…とあるそうですが、それで生産量が減るわけではなく、コロナの影響が大きいのでは…と呉屋さんは考えているそうです。

沖縄そばを夜に食べるイメージが無い!

「夜に沖縄そばを食べない風潮がある、ラーメン屋さんには夜にも行くのだから、沖縄そば屋にも行こうぜ!って流れを…」という金城さん。

これに「お店自体が空いて無いイメージがあって、夕方6時には閉まっていると思い、チョイスに入らない」と答えるミキトニーさん。

呉屋さん曰く、「沖縄そばは、うちなーんちゅの中に昼ご飯のイメージがあり、夜はお客さんが来ないから(お店を)開けない」そうです。

「言われないと気付かなかった…!」と新しい気づきにハッとした様子のMCのお二人。

こういった先入観から変えていくことが必要と感じるスタジオでした。

夜にも沖縄そばを食べてほしい!と願う金城さん
夜にも沖縄そばを食べてほしい!と願う金城さん

県外に沖縄そばのお店は増えないの?

「沖縄そばのお店って県内にたくさんあるけど、県外には少ないのはどうして?」と疑問に思うミキトニーさん。
お店はあるそうですが、まだまだ少なく、(ビジネスの)可能性があるとのこと。沖縄県民に受け入れられた沖縄そばの味を、東京や県外に出したら売れると信じているけど、それが進まないのはビジネス感があまりないのでしょうか?有識者のお二人にお聞きしました。

原点回帰?1杯2,000円の沖縄そばを

「原材料の観点からいうと、沖縄そばって三枚肉乗ってないと沖縄そばとは言えない」という金城さん。沖縄そばらしさを守るためにはある程度原材料の価格をかけないと出せないそうです。

「お昼のお手頃な食べ物」というイメージが強すぎるので800円超えると高いと言われてしまそうですが、ラーメンなら当たり前。低価格でないといけない、という沖縄そばのイメージ改革を図らねば!と意気込むスタジオでした。

沖縄そばの県外進出について語るミキトニーさん
沖縄そばの県外進出について語るミキトニーさん

沖縄そばの定義はどこに?

「『沖縄そば』という定義がないので、今後広がっていくことで、ラーメンとのグレーゾーンが無くなってくるのが伸び代でもあり、課題。」という呉屋さん。

沖縄そばの定義は、うちなーんちゅが既に心の中に持っているので、全く違うものに変わっていくことはないが、沖縄の食文化という観点からすると、違う方向に行くことは課題でもあるし、発展の伸び代にもなる点が難しいと感じているそうです。

子供の国に、沖縄そば博物館?理事はミキトニー!?

「昔こういうのがあったよ~って歴史書とか博物館的なのがあってもいいかもね!安易だけど笑」と言う神山さんに、「これ、めちゃくちゃ大事!」と答える呉屋さん。

沖縄の文化として後世に残していくために、製麺所やお店の様々な歴史をまとめて記録しているそうです。

ラーメン博物館ならぬ、沖縄そば博物館がこどもの国にできるのでは?
と盛り上がるスタジオでした。

沖縄そば博物館に盛り上がるスタジオ
沖縄そば博物館に盛り上がるスタジオ

沖縄そば業界が未来のためにできることとは?

課題をうけて、沖縄そばのイメージ改革が必要だと感じるMCのお二人。
付加価値を上げて単価アップをするには、どんな事ができるのでしょうか?お二人にお聞きしました。

メイドイン・オキナワの小麦粉で付加価値を!

「県産麦を使用することは、経済的にも循環するし地の物を使うと、より良い(そば)になる」と金城さん。

沖縄は平野の少ない土地柄、現状で4.5トン程度しか、麦の生産がされていないけど、うるま市の有機耕作地の開拓が進んでおり3~5年後には10トンほどの生産が見込まれているそう。
しかし、それでも他県の数十万トンには遠く及ばないそうです。

また、次世代の農家が少ないことも課題とのこと。県内の農業高校と連携しているものの、新規で就農する場合の収入面など、(行政の)フォローが必要だそうです。

庶民の味方のイメージ払拭!会員制の高級沖縄そば!

「3,000円くらいの高級沖縄そばができたら良い」という呉屋さん。
もともと、沖縄そばは高級食だったのだから、本当にいい食材を使用して新たな沖縄そばとしてのブランディングを確立してみたいとのこと。

これには、「食べたい!」と興奮気味の神山さん。
呉屋さん監修のもと、会員制の究極の沖縄そばを作ろうと盛り上がるスタジオでした。

会員制の高級沖縄そばを作ろう!と意気込む神山さん
会員制の高級沖縄そばを作ろう!と意気込む神山さん

夢は大きく!海外進出からの逆輸入!?

「Coco壱(カレー専門店)は日本だと手頃なチェーン店のイメージだけど海外では高級レストランらしい」と神山さん。

これをヒントに「逆に、海外から新しいスタイルの沖縄そばを逆輸入パターンはどう?」と、ハッとした様子のミキトニーさん。

これに、「まずは中国にいきましょう!」と乗り気の呉屋さんが続けます。
中国がルーツと言われている沖縄そばのストーリーを付加価値をして展開していったら面白くなるのでは…とのこと。この展開にワクワクを隠せないミキトニーさんでした。

沖縄そばの明確な定義をつけよう!

「本質的なものは守りながら、変化するべきところは受け入れていくことが大切」と呉屋さん。
県産素材の使用率や作り方など、あまりガチガチにルールを作ると後で大変になってしまうので、沖縄県産品を使用している程度がいいのかもしれないと、まとめる金城さんでした。

沖縄そばの定義について盛り上がるスピーカーのお二人
沖縄そばの定義について盛り上がるスピーカーのお二人

Wheat Revolution(沖縄麦革命)!

「沖縄麦革命を起こす!」と声高らかに神山さん。
今はまだ麦畑を作る第一段階ですが、10年・20年後の未来のために重要だと感じているそう。

これには、「若い人たちに情報を発信していかないと、(沖縄に)麦畑があるという事実さえ伝わらない」と金城さん。麦の食生活はあるのに、麦の生産文化がないことに疑問を感じているようで、麦畑を広げるためにも大衆の認知度を広げる必要があるとのこと。

国内外の小麦の値段がどんどん上がっており、今後世界的に、小麦の備蓄がなくなると言われている昨今、自分たちの足元の穀物を増やすことがSDGsの観点からもとても重要なのでは…と、まとめるのでした。

以上のディスカッションから、沖縄そばの未来図ポイントは次のようになりました!

沖縄そば業界の未来図

  • 沖縄で麦畑を作って文化にする(Wheat Revolution!!)
  • 県産小麦を使った究極そば(会員制)を海外出店⇒逆輸入
  • 呉屋親方の沖縄そばを題材にした書籍を出版する

まだまだ、沖縄そばに対する愛を喋りたりない様子のスタジオ。
沖縄そば業界が盛り上がるよう今後も第二段・三段とディスカッションをしていきたいと思うミキトニーさんでした。

Guest Profile

金月(きんちち)そば店主 金城 太生郎 きんじょう たきろう

金月(きんちち)そば店主 金城 太生郎 きんじょう たきろう

1976年沖縄県生まれ。1989年(中学)より東京で過ごす。2008年沖縄県読谷村にて「金月そば」(きんちちそば)を開業。沖縄そばを生麺で提供することを起点とし、自家製麺・沖縄小麦を製粉するなど沖縄そばの原料から見つめなおし、「沖縄そば一杯の自給率向上」を目指し日々奮闘中。2018年より沖縄県麦生産組合と提携し、沖縄小麦「島麦かなさん」の製粉業も営む。身体に染み渡る鰹出汁を追求し8種の魚節から低温抽出したあっさりとした深い出汁とモチモチとした食感で味わう進化系沖縄そば。金月そばの味への研磨と探求心は現在も進行形である。

→ Webサイト

沖縄そば研究家 呉屋 博典 ごや ひろのり

沖縄そば研究家 呉屋 博典 ごや ひろのり

幼い頃から沖縄そば好きが高じ、県内の沖縄そばを20年以上食べあるき、2013年より沖縄そば専門ブログ「『すば』らしい日々」を開設。また、様々な沖縄そばに関するメディアに出演。伝統的な麺の作り方や、沖縄そばの歴史のほか、沖縄そばに関係する、あらゆる角度から魅力を発見できる「沖縄そば講座」の開催などの教育普及活動も行っており、沖縄そばに関係する様々な調査・研究を行っている。「この世にマズイそば屋は無い」が信条。

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