昨年と比較した沖縄観光業界の現状
体感7割の復帰!? 航空業界、ホテル業界の現状
前回の放送時と比べて、沖縄観光業界の変化はどのようになっているのでしょうか。
早速お二人にお聞きします。
「皆さんも体感してるところもあるかと思いますが、観光客の方は戻ってきてはいます。夏休みも始まるということで、7・8月の予約はかなり入ってきているような状況です。」と川添さん。
「ホテルの場合、全体の7割は離島中心にリゾートホテルでかなり予約が埋まっていて、予約が取れないホテルもある。」と藤井さん。
利用目的が違う都市部は、まだリゾートホテルと比べて回復が遅い印象があるそうですが、それでも半分以上は予約が埋まってきているそう。
では、沖縄の滞在日数は変化しているのでしょうか?
質問を投げかけるミキトニーさんに川添さんが答えます。
「体感としては、ほとんど変わっていないかなと思います。」と川添さん。
これには藤井さんも同意見で、ホテルに長く滞在される方もいるようですが、それほど変化がないという印象だそう。
ワーケーションスペースについても課題がありますが、今後確実に増えてくることが予想されるので、滞在日数を増やす施策が重要だそうです。
新たな観光業界の課題とは?
苦しいレンタカー業界。深刻な2次交通の現状
「コロナの影響で業績が苦しく、レンタカーを手放す業者がいます。」と川添さん。
「今は圧倒的に不足しているんですよね?」と神山さんがすかさず返します。
「旅行業界自体は(観光客が)戻ってきているのですが、車の納車が間に合わなくて、沖縄での移動手段がないという状況があります。」と川添さん。
飛行機は空いているのに、レンタカーが確保できないという事で、需要を取りこぼしているところもあるそう。
「(レンタカーの)単価がかなり上がりましたよね?」とミキトニーさん。
なんと、相場の5・6倍くらいだそう。
「2次交通は本当に深刻ですね。」と藤井さん。
「自分たちでバスをチャーターして、空港からホテルまでの移動手段を提供するホテルが今年は増えている。」と続けます。
「カーシェアも那覇市内は多いけど、北部・恩納村など、私たちホテルの周りに無い状況です。」と藤井さん。
レンタサイクルなど、移動手段の拡充は、観光業界でも重要な課題となっているそう。
観光客の受け入れに必須な働き手の不足
「(観光客が)ほぼ戻りました。という状況になった時、受け入れられるだけのものは、レンタカー以外揃っている感じですか?」とミキトニーさんが尋ねます。
「あとは『人』ですね」と藤井さん。
「それですよね!」とミキトニーさんも反応します。
「正直、いま需要が戻ってきても、準備するスタッフが絶対的に不足しています。」と藤井さん。
働いている方も海外の留学生や技能実習生にかなり頼って運営をしていたが、コロナの影響で減ってきているそう。
また、日本人や沖縄のスタッフも接客が好きで(ホテルで)仕事をしていたのに、コロナの影響で、業界を諦め辞めてしまうスタッフがかなりいたようです。
これにはミキトニーさんも大問題と感じたようです。
航空業界も同じで、今回のコロナ禍の中で残念ながら退職されるパターンも結構あるとの事です。
「飛行機を飛ばしたいけど、人が足りないから飛ばせない。というところもあります」と川添さん。
観光業界全体として、働くスタッフの確保に課題がありそうです。
重要なターゲットの1つ!?富裕層の受け入れ
高単価・付加価値商品の展開を
最近、施策やテレビとかの情報で、富裕層を受け入れる動きが強くなってきている現状があるそう。
「県内はここ1年で高単価なホテルが増えてきて、10室くらいの規模やコテージタイプで一泊何十万というところに何泊も予約している方もいる」と藤井さん。
「やはり消費単価が高いのと、泊数が長く取れると思います。」と続けます。
海外の方も多いそうですが、日本人も多いそう。
旅行の中で使う金額が高いという意味では、重要なターゲットの一つとなるようです。
「色んな観光資源があって、そういうところをどんどんやっていくというのは、一つの大きな展開になると思う」と藤井さん
普段入れないところで食事ができたり、貸し切りにできる特殊なツアーを作っていこうという動きもあったようで、実際に、美ら海水族館の水槽前や首里城でパーティーを開催されたそうです。
『沖縄ブランド』とは!?モデル都市は北谷?
「スポットでは良いコンテンツがあると思うけれど、『沖縄ブランド』って何かという統一感がなくて・・・」と川添さん。
「沖縄って何?」といった時に、ハワイのような共通の言葉が沖縄にも必要と感じているようです。
コンセプトに基づいた街づくりやインフラ作りをやる必要があるのではないかと考えているそう。
「私もそれをずっと考えているんです!」と共感するミキトニーさん。
「北谷は以前国際通りのイメージでした。」と藤井さん。
今は地元の人が盛り上がっているイメージで、北谷や砂辺ストリートは完全にアメリカや海外の雰囲気で、地元の人もいて、そこに観光客の人が行くという流れができているそう。
「北谷のような街のでき方、作り方が良いんじゃないか。」と話す藤井さん。
民間の人たちや飲食店の人たちが率先して街を変えていったイメージがあり、新しい街づくりのモデル都市としても良さそうです。
今後のインバウンドに必要!? 沖縄ブランドコンテンツの作成
「大きなテーマパークを作るし、テーマパークの概念を考えないといけない。」と神山さん。
川添さんが続けます。
「今後インバウンドが戻ってきたとき、沖縄のことをよく知らない海外の人へ一発で伝えられるようなブランドコンテンツが必要になるのではないかと思います。」と川添さん。
「大問題じゃないですか!」と神山さん。
この大きな課題をみんなで共有して始めて、今まであったコンテンツが繋がること感じたようです。
色も自然も文化もいっぱい良いコンテンツがある沖縄だけれど、何をコンセプトにした観光地にするのか、アピールしたいのはどれか考えていく必要がありそうです。
最後に神山さんの名言も飛び出し、盛り上がるスタジオでした。
ここまで、沖縄観光業界の現状と課題を色々とお話してきました。
では、その解決策はあるのでしょうか?
空港をあと2つ作って交通インフラも解決!!
ヘリコプターや高速船の利用も「陸路・空路・・・作戦」
「やっぱり沖縄は車が無いと移動ができない・・・」と言うミキトニーさん。神山さんが続けます。
「空港周りや那覇は、モノレールや交通機関があるから、移動がしやすいという事ですよね?ということは、やっぱり空港を中部に作るべき。」
第1弾で描かれた未来図ポイント「中部に空港を!」が、やはり必要と神山さんは考えたようです。
「分かった!空港をあと2つ作ろう。その区間をヘリコプターを使って移動する」と神山さん。
これに、「那覇から恩納村のホテルまでヘリコプター運航のニュースが出ていました。」と思い出した藤井さん。これは、沖縄で初めての取り組みになるそうです。
「ホテルに直接行けたら最高じゃないですか!」と盛り上がるミキトニーさん。
「値段が高くてもいい」「乗ることが1つのアトラクションで目的になる」と神山さん、藤井さんも続きます。
「船はどうですかね?」とお話する川添さん。
那覇から本部まで1時間程度で往復する高速船も活用して、陸路・空路・海路からの良いアクセス網が作れそうです。
新しい旅のスタイルに合わせた色々な提案を
地域の魅力を活かした最高の専属アテンド
「コザの人はおせっかいの人が多い。勝手にアテンドしたり」と神山さん。
アテンダーと街の人とが連携したら良いと考えているようです。
これには「面白いし楽しい」と好感触です。
「沖縄をアテンドしてくれる人が専属でいたらいいなぁ」とミキトニーさん。
富裕層や海外からの観光客に対して、1日専属でアテンドする事で、沖縄の観光・旅行がより豊かになるのではと考えているようです。
「地域というのは、観光の本質」と話を切り出す藤井さん。「やはり、地元の人が行くお店や他の人が知らないところに行きたいという思いがある」とお話します。
「各々でまとめないで、それぞれの特徴を活かしながらやるというのが、『旅』らしい体験ができる」と藤井さん。
そうすることで、観光地にもメリットがあると言います。
新しい旅のスタイル!予約しない観光客
「今はホテルに予約しないで来る方が結構いるんです。」と藤井さん。
身軽に旅を楽しみたい方々が増えてきているそう。
当日の天気予報やSNSなどを見て、自由に行動する旅のスタイルがあるようです。
これには、「面白い!」とミキトニーさん。
「富裕層の方も、もしかしたら、自分で調べているのかも。」と藤井さん。
全部御膳立てするのではなく、自分の好きなように動く方も多いのだそう。
「(旅をするのに)何か便利なアプリがあって、そういうものが整備されていくと、『行きやすい』『便利なところだよね!』というイメージ作りに繋がると思います。」と藤井さん。
これにはミキトニーさんも「旅行の楽しみ方に合わせて色々な提案ができたら面白いと思う」と盛り上がります。
「沖縄ブランド」の企画と発信
『沖縄』としての強力なブランドイメージが必要
「その地域ごとの特色があってもいいと思うけれど、『いち沖縄』としての強力なブランドイメージが必要」とミキトニーさん。
これから色んな業種との掛け合わせをしていくうえで、沖縄のブランディングが必要と感じたようです。
「ハワイって、『ハワイ』自体が1つの言葉になっている」と神山さん。
これには川添さんも「そうなんですよ!」と反応します。
「投資してコンテンツを作って、そこを目当てに来てもらう。というのを意図的にやらないと、富裕層や観光顧客の方々は、これ以上お金を落としてもらうことは無いと思う」と川添さん。
何回も沖縄に来てもらうためにも、意図的な発信は必要と感じているようです。
「あと、企画が大切ですね」と神山さん。
これには、瀬戸内がうまくやっていると藤井さんがお話します。
「瀬戸内は、アートで直島に美術館があって、サイクリングの聖地、瀬戸内のレモンやオリーブとか、色んな県があるんですけど、全部が横断してまとまっている」と称賛します。
瀬戸内の上手なブランディング手法は良い参考になりそうです。
「沖縄でも色々と置き換わるものがある。マニアックなものは大事だと思います。」とお話する藤井さん。
アニメやウルトラマン、スポーツやサイクリングといったコンテンツを上手く置き換えて、ブランディングしていくのがよさそうです。
「沖縄の人には当たり前の光景が、外の人から見たらとても面白いコンテンツだったりする」と川添さん。
藤井さんも実体験から感じたことをお話します。
ゲストお二人の話を聞いて、ファンやリピーターを増やすためにも、滞在時間を伸ばすコンテンツの企画と発信が必要と感じたMCのお二人でした。
以上のディスカッションから、沖縄観光の未来図ポイントは次のようになりました!
沖縄観光の未来図(第2弾)
- 空と海の交通手段を増やす(とにかく空港を)
- ニッチ市場をターゲットに企画し、滞在日数・消費額を増やす
- 「沖縄ブランディング」を意識する
第1弾に続き、長時間の議論で沖縄観光業界の未来図が作成できました。
また近いうちに、第3弾が開催され、その時には、もっともっと沖縄の観光業界が盛り上がっているはず!
と感じるミキトニーさんでした。
Guest Profile
創業55年目の「沖縄県民の翼」日本トランスオーシャン航空株式会社(JTA)の路線事業部所属。運行のタイムテーブルや運賃などをつくっている。現在沖縄本島と離島を結ぶ14路線就航している。
恩納村冨着(おんなそんふちゃく)にあるリゾートホテル「シェラトン沖縄サンマリーナリゾート」に所属。ホテルの運営全般(レストラン・宴会・婚礼)を担当しつつ、経理や人事といった管理業務もカバーしている。