今の若者たちの価値観と面接の変化
人事担当者が感じる今の若者の印象とは?
人事として、若者を受け入れる立場の松村さん。
いまの若者たちはどういう人が多い印象なのかお聞きします。
「自分のためというよりは、社会、会社、地域のためと考える若者が多くなっている。」と松村さん。
これには、MCのお二人も驚いたようです。
「震災やコロナのこともあって、周りと連携したり、協力したりすることを幼いときから体験しているので、皆で何かをするとか、それがいかに社会へ影響を及ぼすのか、そういうことを考えている人たちがすごく増えている。」と松村さん。
このお話を聞いて思わず「立派だね・・・。」と神山さんがつぶやきます。
面接はAIを使う!?最近の面接事情について
いまの面接事情はどうなっているのでしょうか?
「履歴書は今でも書くの?」と神山さんがお聞きします。
「履歴書は今も書きます。イケイケのベンチャー企業とかは、履歴書がいらないというところもあります。あと一次面接をAIが対応したり・・・」と松村さん。
「ええッ!?」と思わず声をあげるミキトニーさん。
AIが顔認証して、骨格が緩んでないかなどの情報から「この人は緊張に弱い」と判断したりするそう。
一定の基準で判断できるので、感情による採用が減り、先入観持たず採用を決めることができるといったメリットもあるようです。
沖縄県が抱える課題とは
高い離職率。若者の定着が課題
「問題は会社に入ってから、職場に定着できるかが課題。」と松村さん。
沖縄は入社後3年以内の離職率が高く、職場への定着は大きな課題と言えそうです。
「理由は何でですか?」とミキトニーさん。
「ネームバリューで(就職先を)決めたり、親戚の意向が強く出たり、あと沖縄あるあるで、周囲が根拠なく『公務員になりなさい』と勧めてくる。」と松村さん自身の考えをお話します。
これにはミキトニーさんも共感したようです。
「学校の先生や親の言葉は子どもの背中を押す!」とミキトニーさん。
周囲の意見で就職先を決めた後に「やっぱり違う」「こういうことをやりたかったんじゃない」ということもあるとお話します。
「ギャップがすごく大きいと思いますね。自分の体験していない情報を持ったまま会社に入ってくるので、そのギャップに悩まされる人が非常に多いと思います。『あれ?全然違う』みたいな」と松村さん。
最初の1、2年目は新鮮で楽しいと思うけど、3年目ぐらいからそのギャップに気づいてくるのだそう。
「3年で仕事を辞める人が多いイメージはある。」とミキトニーさん。
「(3年以内の離職が)4人に1人ぐらい、40% 50%ぐらいの比率で辞める人がいるので、問題ですよね。」と松村さん。
沖縄の離職率の高さは大きな問題と捉えているようです。
多すぎる情報で苦しまないためにも相談することが大事
「今は情報が多すぎて、いい情報も取りにいけるんですけど、ネガティブな情報も多く受け取っちゃうんですよね。」と福島さん。
情報をネガティブに取ってしまい、ドツボにハマっている人たちが多いそうです。
「実際に面接したり、インターネットで得た情報をもとに就職しても『やっぱり入ってみて違った!』みたいなことも?」とミキトニーさん。
福島さんも「あります!」と深く頷きます。
「むしろこれの方が大問題じゃないかな?」とミキトニーさん。
マッチングの問題についても課題があると感じたようです。
「若い人たちは、狭いところでしか生活していないから、親や学校の先生など、身近な大人たちのバイアスがかかった情報を得て、そのしがらみに苦しんでいるところもある。」とミキトニーさん。
ゲストのお二人も「そうなんです!」「めっちゃ分かる・・」と相槌をうちます。
ミキトニーさんの話があまりにもリアルで深く共感したようです。
「近い人たちだけではなく、支援員さんや客観的な立場の人に相談するということは、やっぱりとても大事なこと。」とミキトニーさん。
この「相談できる場所、人の存在」があまり知られていないからこそミスマッチがあったり、迷っている人たちが増えていると感じたようです。
キャリアを相談することの重要性と入社後の課題
あまり知られていない?キャリア迷子を救う存在
現在、企業や県、市町村から依頼を受けて、キャリア支援やカウンセリングを行っている福島さん。
20代の頃はキャリアの迷子だったそう。
「(20代当時)キャリアは全部自分で決めないといけない!と思っていた」と福島さん。
その後、就職支援機関で働いたことで、その素晴らしさに気づき、今も事業を続けているそうです。
福島さんのお話を聞いて、「キャリアを相談する所があるんだ。」とミキトニーさん。
自身も「キャリアは自分で決めるものだ!」と思っていたそうで、これにはびっくりしたようです。
福島さんが相談所の存在を知ったのは大学生の時だったそう。
「大学内に『キャリアセンター』というものがあって、自己理解(自己分析)や企業研究も一緒にやってくれますし、キャリア相談も色々と情報を提供してくれます。」と福島さん。
身近にあるなら、活用したほうが良いと話をしてくれました。
入社後苦しまないために意識すること
実際に、入社後にあった相談はどのような内容だったのでしょうか?
内閣府が出している「初職の離職理由」で、トップ3がこちらです。
- 仕事が自分に合わなかった
- 人間関係がよくなかった
- 労働条件が合わなかった
「これは日常的に聞くこと。」と福島さん。
キャリアコンサルタントの仲間も、この理由で相談を受けることが多いそう。
「企業側の努力また支援側の努力もあると思うんですけど、個人が(職選びに関して)意識しないといけないこともあると思います。」と福島さんがお話します。
「事前に多く情報収集したり、企業研究をしたり、もっと言うと、自分をことを深く理解する。何か大切なのか、どんな仕事をやりたいのか、就職活動の限られた時間ではありますけど、しっかり深掘りする必要があります。」と福島さん。
「でも30代、40代になって初めて、色々と経験しながら、今後どうやって生きていこうかというところに行き着くと思う。」とミキトニーさん。
福島さんのお話を聞いて、「そうね!」「確かに!」と共感しながらも、それが学生時代に分かっていたのかどうか、自身の経験を振り返り、10代の若者たちがそこまで考えるのは難しいのでは?と思ったミキトニーさんでした。
ここまで沖縄の若者のキャリアについて、現状と課題をお話してきました。
- 周囲の固定概念が強いため、自分でキャリアを選びにくい
- やりたい事を言える環境が少ないため、やりたい事を言語化できていない。
- 会社に入社してからのギャップを感じている。
以上を踏まえ、沖縄の若者の未来について、話を進めます。
キャリアカウンセラーの現状について
キャリアカウンセラーの利用がもっと増えるべき
「まず自己分析というか、自分に向き合っていくことが大事と思うんですよね」とミキトニーさん。
自身が経験したこれまでのキャリアを振り返り、感じることがあったようです。
「言語化できていないビジョンを聞き取ることがカウンセリング?というかキャリア支援ですか?」と神山さんが質問します。
「そうですね。それがキャリア支援の場ですね。そういったキャリア支援の場には相談窓口であったり、専門家も多くいるので、自己分析したり、仕事を見つけたり、企業研究できたりとか。アセスメントという自分の性格を分析するツールもあるんですよ。」福島さんがお答えします。
「自分に向き合っていって、どんどん悲しい気持ちになる・・・。とかないんですか?」とミキトニーさん。
「そういう場合もあるので、そこをちゃんとサポートするんですよ。」と福島さん。
「ちゃんとこれを利用するひとがもっと増えるべきということ?」と神山さん。
これには福島さんも「増えた方がいい」と答えます。
イベントで解決!?キャリアカウンセリングの高いハードル
「(相談する所は)私には無関係だとか、難しそうだとかハードルが高いみたいなイメージでスルーしていたんですけれど、もっと気軽に頼るというか、そう思うんですけれど・・・。」とミキトニーさん。
頼った方がいいと思ったけれど、「自分に向き合うこと」は、勇気のいる作業なので、心のハードルも影響していると感じたようです。
「(自己分析を)ひとりでやると、やっぱり(気持ちが)下に行っちゃったり、変な思考になったりするので、そばでサポートしてくれる相談員が一緒にいることで、辛いことも半分みたいになる。」と福島さん。
キャリア支援や相談窓口を利用するハードルをどう越えていくのか課題がありそうです。
そこに、「イベントをやろう!」と神山さん。
ミキトニーさんMCのイベントを開催して、ハードルを下げようと考えたようです。
これには、「出た!(笑)」とミキトニーさんがツッコミ、スタジオが盛り上がります。
高い離職率の解決は!?
企業側の対応と働く側の意識改革
高い離職率の沖縄県。
働いている側だけの問題でもなく、企業側でも向き合わないといけないとMCお二人も感じているようです。
「会社にキャリアカウンセラーがいたらいいですね」と福島さん。
実際に、松村さんが所属する株式会社プロトソリューションには、キャリアカウンセラーの資格をもった人事もいるそう。
「(福島さんのようなキャリアカウンセラーと)外で学生と触れ合ってもらって、会社内でもキャリアカウンセリングを受けることができると定着やギャップにもなる」と松村さん。
「それは上の人たち(重役など)にはやってくれないんですか?」とミキトニーが質問します。
「今はどの企業も役員(経営者層)に対する研修みたいなものはあって、(経営者の意識改革は)かなり普通になってきていると思う」と松村さん。
階層別の研修を実施している企業も多くなってきているそう。
「ただ、研修を多くやっても本人の意識が変わらなければ、意味がなく、どう気づかせるかが問題だと思うんですよね。」と松村さん。
これに福島さんが続けます。
「自分を振り返る習慣をつけておかないと、自分に矢印が向かないので、研修やテストをしても『自分に関係がないから』とそこで得られるものが無くなってしまう」と福島さん。
受講した研修を自分の人生にどう活かそうか、しっかり振り返りをしていく仕組みを作ってあげるということも1つの手段になりそうとのことです。
情報交換ができる場の提供
「民間でも沖縄初のコーチとカウンセリングのマッチングサイト『HALRERU(ハレル)』もあるので、そういったところを活用してみるのもいいですね。」と福島さん。
カウンセラーの資格についてや守秘義務、プライバシーについてのお話を聞いた神山さん。
「(キャリアを)コーチする人たちが『バーテン』という設定で、空間に相談にくるというイベントの開催はどうか」とイベントのアイデアを出します。
これには福島さんも「すごくいいと思います」と後押し。
「自己開示をして、自分の話を相手が聞いてくれると『カタルシス効果』があって、給料をもらったぐらいの快楽物質が脳内に出る効果がある」と福島さん。
相手に話すこと、聞いてもらうことでスッキリする効果があるとのことです。
以上のディスカッションから、沖縄の若者が考えるキャリアの未来図は次のようになりました!
若者のキャリアに関する未来図
- キャリア支援の認知を広げる
「これに尽きるんじゃないか」とミキトニーさん。
イベントやバーで話をするような場を作ったりと様々な方法で、キャリア支援の認知拡大を目指し、沖縄の若者のキャリアの未来図を描けたら良いなと思うミキトニーさんでした。
Guest Profile
株式会社プロトソリューション管理部所属。人事(主に採用業務)を担当。2021年新卒採用プロジェクト化に伴い、統括リーダーとして従事している。
株式会社ワダチラボ代表取締役。企業研修・コーチング・カウンセリングやキャリア支援を実施し、企業への定着率向上、収益UPに貢献している。