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エピソード

撮影隊がやって来たことに気付くとすぐに立ち上がり、にこやかな笑顔を見せる。沖縄の芸能事務所「FECオフィス」で代表取締役社長を務める山城 智二(やましろ ともじ)氏は、自らも芸人・タレント・俳優としてテレビCMやドラマ、ラジオなど幅広く活躍するマルチタレントだ。

FECオフィスは、山城氏の実兄である達樹氏が1993年に創業。彼が沖縄大学在学中に旗揚げしたサークルが母体だ。現在は、同時期に発足した「オリジンコーポレーション」や「よしもとエンタテインメント沖縄」と切磋琢磨しながら、沖縄のお笑いを盛り上げるトップランナー的存在に成長している。

事務所の創立当初は芸人として駆け出しの時期だった山城氏。漫才コンビ「ふんだりけったり」として月1回の舞台に出演し、お笑いの腕を磨いていた。事務所が軌道に乗り始めていたその矢先、達樹氏が26歳の若さで急逝。山城氏は23歳で、事務所の代表として所属する後輩たちをけん引する立場と芸人との二足のわらじを履くこととなったのだ。

だが、最も身近な肉親との別れが与えた衝撃は凄まじかった。しばらくは「ぽっかり穴が空いた状態で仕事をやっているような感じだった」という。そんなうちに、山城氏とともに事務所を支えていた創業時のメンバーも離れていってしまう。いよいよ後輩たちを引っ張っていかなければならない――。その状況で道筋を示す光となったのは兄が生前読み漁っていた多くの本、そして死の直前まで熱く滾らせ続けてきた“情熱”を遺したメモであったという。当時の心境や環境の変化、さらには「ジャンル化されて出来上がった感覚ではまだない」と捉える現在の沖縄のお笑いと彼が思い描く理想のカタチ、そして自身の将来について聞いた。

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プロフィール

1971年7月生まれ、那覇市出身。有限会社FECオフィス 代表取締役社長。
実兄の故・山城達樹氏が沖縄大学在学中に旗揚げした演芸サークルを母体とする「演芸集団FEC(フリーエンジョイカンパニー)」に所属、自らも漫才コンビ「ふんだりけったり」を結成し、達樹氏の「ファニーズ」と共に活動していた。
1996年、達樹氏の急逝を受けてFECを引き継ぎ、2001年11月に有限会社化。
社長就任後もテレビ・ラジオ・舞台・映画など演者として幅広く活躍中。
趣味は映画鑑賞で、映画をテーマとしたラジオ番組も担当。
映画俳優として『born,bone,墓音。』にて、米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2017」ベストアクターアワードジャパン部門を受賞した経歴を持つ。また、映画監督を夢に掲げており、2023年に公開されたドキュメンタリー映画「ファニーズ」では監督を務める。
テレビドラマ・映画の主な出演作に「琉神マブヤー」「ハルサーエイカー」「テンペスト」「洗骨」など。